住宅,住宅百科,住宅ローン,住まい・建築大百科事典
今年に入って香港の住宅価格は28%も上昇している。不動産リサーチのグローバル・プロパティ・ガイドによると香港の居住用不動産価格は世界第5位で、モンテカルロ、モスクワ、ロンドン、東京に次ぐ高値だ。
価格が高騰しはじめた年初の時点で「出遅れた」というマーケティング専門のジェン・シューアさん(39)のように自分が住む家を購入したい買い手にとって、不動産が購入ができるかどうかは香港政府の施策頼りといえる。
シューアさんは「中国本土の富裕層ら投機筋によって不動産市場から閉め出された。投機筋は物件を見たり値段の交渉もせずに住宅を買い上げている。自分のような本来の買い手を閉め出すような投機筋や外資に対し、政府が措置を講じるべきだ」と憤りをあらわにした。
香港不動産大手のヘンダーソン・ランド・デベロップメント(恒基兆業地産)は10月14日、香港の集合住宅販売個数が全世界で過去最多を記録し、販売価格は正味面積1平方フィート当たり8万8000香港ドル(約103万円)に達したと発表した。
中央銀行の役割を果たす香港金融管理局(HKMA)は10月23日、1991年以来で始めて高級住宅の頭金の額を引き上げるなど購入の要件を厳しくした。政府系の住宅ローン保険会社、香港按掲証券(住宅金融公庫)は同日、住宅保険の適用対象を制限するとともに、所有者が入居しない賃貸向け不動産への保険の付与を一時停止した。
不動産仲介大手の中原地産によると、これらの政策変更を受け10月最終週には、香港市内最大の開発プロジェクト10件のうち居住用物件の取引数は37件と前週の53件から減少。4件は平均価格が下落したという。同社で住宅用不動産部門を担当するルイス・チャン氏は、約4カ月ぶりの大幅な下落だと述べた。
だが、住宅価格の高騰で住宅費の負担が重くなった一般市民は悲鳴をあげている。国際通貨基金(IMF)は今月3日の報告書で、不動産や固定資産価格が急騰する恐れがあるという点で香港政府と同様の懸念を表明。迅速なバブル対策が必要と指摘した。
クレディスイスの不動産担当アナリスト、クーソン・ラング氏(香港在勤)は「政府は何も具体的な対策を行っていないが、市場の過熱を冷まそうという姿勢を見せており、これが投機的動きを牽制(けんせい)している」と語った。同社は年末までに不動産価格8%引き下げに向け公的介入が行われるとの観測が高まると予想している。
香港特別行政区の曽俊華(ジャン・ツァン)財政長官は4日、急激な価格上昇に対し強い懸念を抱いていると言明した。香港政府は宅地開発用の土地の供給量を増やすよう圧力が高まっていることを受け、一段の土地開放で需給を緩和する可能性を示唆している。
香港理工大学の建築・不動産学部教授、フランシス・ウォン氏は、高額物件の売値が過去最高に高騰したことが安い物件の売り手に「不動産を売却すれば最低10~15%はもうかると誤解させた。売り手はより高い値段を要求し始め、多くの買い手候補がもう支払えない値段になってしまった」と説明した。
住宅ローンにかかる費用が過去最低で預金金利はゼロに等しいうえ、通貨安とあって香港ではニューヨークやロンドン以上に急速に住宅価格が回復した。海外の固定資産を買いあさる中国本土の買い手の存在も高額物件の価格上昇に拍車をかけた。
ヘンダーソンの李兆基(リー・ジャオジー)会長は10月29日、政府による不動産対策は「高額物件の価格にさほど影響を及ばさないだろう。買い手のほとんどが産業界の大物で、購入時に住宅ローンを組む必要がないからだ」と語った。
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